複数の観測者モデルによるディスプレイ測色 等色関数(CMF)を活用した色合わせの最適化

異なる表示技術を採用したディスプレイ間の色合わせを改善

2台のディスプレイで白色点の測定値が一致していても、実際には色が違って見えることがあります。特に、OLED、QD-OLED、Mini-LED、MicroLEDなど、発光スペクトルが異なるディスプレイ同士の色合わせでは、この問題が重要になります。

複数の等色関数(CMF)を用いて色を評価することで、従来のCIE 1931に基づく測定だけでは見つけにくい色差を把握できます。異なる測色観測者モデルによる評価結果を比較することで、ディスプレイの校正や色合わせ、製造工程での品質管理に役立つ情報が得られます。

課題:色度座標を合わせるだけでは不十分

従来のディスプレイの校正には、一般にCIE 1931標準観測者が用いられています。しかし、発光スペクトルが異なるディスプレイ、特に狭帯域の発光スペクトルを持つディスプレイでは、色度座標が一致していても、別の観測者モデルで評価すると色差が生じる場合があります。

この現象は「観測者メタメリズム」と呼ばれ、異なる表示技術を採用したディスプレイ間の色合わせを難しくする要因の一つです。例えば、OLEDとLCDが同じ白色点の仕様を満たしていても、並べて見ると色の違いが分かることがあります。

図1:発光スペクトルが異なる3台のディスプレイ。左は基準となるOLED、中央はLCD、右は別のOLEDです。CIE 1931 2°標準観測者に基づいて白色点を一致させても、メタメリズムによる不一致により、色が異なって見える場合があります。

表1:図1の各ディスプレイにおける白色光の発光スペクトルの比較。

複数の観測者モデルによるディスプレイ測色:測定システム例

主な課題:

  • 従来のCIE 1931による測定では見つけにくい色差の把握
  • 発光スペクトルの違いがディスプレイの色合わせに及ぼす影響の評価
  • ディスプレイの用途や対象ユーザーに適した観測者モデルの選定
  • 異なる測色観測者モデルによる評価結果の比較
  • 別の等色関数(CMF)を用いる場合の測光トレーサビリティの確保

Instrument Systemsのソリューション:分光測定と複数のCMFによる色評価


Instrument Systemsは、分光放射測定と、複数の測色観測者モデルを用いた色評価を組み合わせています。一度取得した分光測定データを、CIE 1931 2°、CIE 1964 10°、CIE 2015 2°/10°など、対応する観測者モデルで評価できます。これにより、観測者モデルによって異なる色差を検出・定量化し、観測者メタメリズムを分析できます。また、表示技術や用途に応じた色合わせの最適化にも役立ちます。

Instrument Systemsでは、測定目的に応じて2つのアプローチを用意しています。

2D色測定:LumiTop、CAS、LumiSuite

ディスプレイの各位置における色を評価する場合には、LumiTop イメージング色彩輝度計を使用します。高解像度の画像測定とCAS 分光放射計による分光基準測定を組み合わせたシステムです。LumiSuiteのMyCal機能では、選択した等色関数(CMF)をカメラの色校正と2D色評価に適用できます。これにより、ディスプレイの測定領域における白色点の差や色分布、均一性を評価できます。

この方法は、複数の測色観測者モデルによる評価が求められる用途を含め、ディスプレイの研究開発、校正、製造工程での品質管理に適しています。

1Dスポット測定:TOP 200とCAS分光放射計

ディスプレイ上の特定箇所の色を評価する場合には、TOP 200 光学プローブとCAS 分光放射計を組み合わせて分光データを取得します。取得したデータを使って、異なる観測者モデルによる測定結果を比較できます。SpecWin ProまたはCAS.dllを使用すれば、測定したスペクトルデータに標準またはカスタムの等色関数(CMF)を適用し、三刺激値や色度座標を算出・比較できます。

画面全体の画像測定が不要な場合に、特定箇所の色合わせやディスプレイの特性評価に適した方法です。

複数のCMFによる色評価と輝度測定のトレーサビリティ

他の観測者モデルは、既存の測光規格に代わるものではありません。標準的な測光量を維持しながら、色に関する追加情報を得るために使用します。標準的な輝度測定には、引き続き明所視の分光視感効率関数V(λ)を使用します。一方、その他の等色関数(CMF)は、測定したスペクトルデータから追加の色評価を行うために適用します。既存の測光標準へのトレーサビリティを維持することで、異なる測定システムや生産拠点で得られた結果を比較できます。同時に、観測者モデルごとの色評価も行えるため、一貫した品質管理や色合わせの判断に役立ちます。

異なる表示技術のディスプレイ間で、色合わせの改善をお考えですか?

ディスプレイの研究開発、校正、製造検査に適した測定ソリューションについては、Instrument Systemsまでお問い合わせください。

よくある質問

1. 白色点が同じなのに、OLEDとLCDの色が違って見えるのはなぜですか?

OLEDとLCDでは、CIE 1931に基づく白色点の色度座標が一致していても、発光スペクトルが異なる場合があります。そのため、別の観測者モデルで評価すると、メタメリズムによる色差が生じることがあります。複数の等色関数(CMF)を用いて分光データを評価することで、こうした色差の検出と定量化に役立ちます。

2. ディスプレイの色合わせにおける「観測者メタメリズム」とは何ですか?

観測者メタメリズムとは、異なる2つの発光スペクトルが、ある観測者モデルでは同じ色として評価されても、別のモデルでは色差が生じる現象です。OLED、QD-OLED、MicroLEDなど、分光特性の異なるディスプレイを比較する際に重要となります。複数の測色観測者モデルを用いることで、起こり得る色差を把握できます。

3. 等色関数(CMF)とは何ですか? なぜ複数使用するのですか?

等色関数(CMF)は、標準観測者による波長ごとの色合わせの特性を表す関数です。測定したスペクトルから色の値を計算するために使用し、光の物理的な測定結果と人の色知覚を結び付けます。色の見え方には観測者による違いがあるため、複数のCMFを使用することで、ディスプレイの色が異なって見える可能性を評価できます。

4. CIE 1931とCIE 2015の等色関数は、どこが違うのですか?

CIE 1931とCIE 2015では、色の値を計算する際に使用する分光感度関数が異なります。CIE 1931は従来の測色で広く使用されている標準です。一方、CIE 2015の観測者モデルを用いると、特に狭帯域の発光スペクトルを持つディスプレイで、従来の評価だけでは分かりにくい色差を確認できる場合があります。

5. 複数のCMFを使うと、ディスプレイの色合わせにどのように役立ちますか?

同じ分光測定データを異なる観測者モデルで評価することで、従来の白色点合わせでは見落とされる可能性のある色差を把握できます。この結果は、異なる表示技術の比較、適切な校正目標の選定、色の一貫性を高めるための判断に役立ちます。

6. 別のCMFを使用しても、標準的な輝度測定のトレーサビリティは維持できますか?

標準的な輝度測定では、引き続き明所視の分光視感効率関数V(λ)と、トレーサブルに校正された測定システムを使用します。その他のCMFは追加の色評価に用いるもので、標準化された測光量に代わるものではありません。

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